
◆絶え間なく進化するADASに合わせて

2019年の登場以来高い人気を誇ってきたハスラーですが、MCレベルの大幅改良は今回が初めて。変更点では、ADAS(先進安全支援システム)の刷新が一番大きなトピックです。従来のデュアルカメラブレーキサポートは、「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」へ。車両、歩行者、自転車、自動二輪車すべてに対応した検知機能へと進化しています。さらに側後方や後方への検知性能が「ブラインドスポットモニター」や「リアクロストラフィックアラート」の標準化により大幅に向上。スズキの軽では初となるADASの充実ぶりで、安全面をさらに強化しました。



そして、このADASの進化に伴って変わったのがフロントマスク。ノーマルと、ラギッド感アップの「タフワイルド」の2本立てこそ従来からの継続ですが、両方とも新規の意匠へとマスクを変えてきました。タフワイルドは、MC前ではHUSTLERの文字がボンネットフード先端に配されていましたが、今回のMCではその文字を廃止(ノーマルフェイスには追加)。代わりにグリル内のブランドロゴを、レトロな「SUZUKI」文字にしています。ノーマルフェイスも含め、ADASのセンサー配置を感じさせないよううまくデザインされています。




タフワイルドは、専用のフロントグリルのほかにもブラックメタリックのアルミホイール、ルーフレールなどを装備し、よりアウトドアテイストを強調した、まさに「ギア感」満載のスタイリングを手に入れました。また、全車にLEDヘッドランプが標準装備されるなど、安全性と利便性が底上げされています。


室内を見渡せば、インパネ周りのカラーガーニッシュが変更され、現代のデジタルライフに欠かせない充電用のUSBソケットがType-Cで2つ用意されるなど、ユーザーに寄り添うアップデートが施されているのも嬉しいポイントです。


◆まったく不満がないドライブフィール

さて、前置きはこのくらいにして、さっそく走らせてみましょう。ハスラーに乗るのは、2代目の登場時以来。今回試乗に連れ出したのは、「タフワイルド」のターボモデル、駆動方式は4WDです。

ドアを閉め、エンジンを始動してまず驚かされたのは、その静粛性でした。走り出しから、「こんなに静かだったっけ?」と思わず声が漏れてしまうほどです。エンジン音はほのかな演出程度の音量で、まったく不快感がありません。マイルドハイブリッドのモーターアシストも相まって、少ないアクセル開度でするすると滑らかに、そしてすばやくスピードに乗っていく感覚は、まさに痛快そのものです。ターボの恩恵もあり、幹線道路での合流や追い越しでもまったくストレスを感じさせません。

そして、街中をクルージングしていて感心させられるのが乗り心地の良さ。路面の継ぎ目や荒れた舗装をいなすサスペンションのストローク感は豊かで、角の取れたマイルドな乗り味を提供してくれます。高速道路でも試しましたが、腰砕け感はゼロ。驚くほど安定感があり、しなやかなサスセッティングに唸らされます。さすがは、軽量、高剛性が評判のいい最新プラットフォーム「ハーテクト」採用車。例に漏れず、ハスラーも走行は快適そのものでした。


ただ、路面からの大きな入力が左右で別々に起きた場合などの特殊な状況では、少しロール方向の揺れが大きく感じましたが、重箱の隅的な問題です。通常で乗る分には、乗り心地のよさが際立つでしょう。少し緩めのステアリングセンターも若干気になりはしたものの、軽いパワステフィールは回頭性が向上しますし、後述するアダプティブクルーズコントロール(ACC)の性能でまったく問題なくなりました。


ハスラーの評価ポイントとして忘れてはいけないのが、ブレーキフィール。まるでスポーツカーのように、踏んだ分しか効かないコントローラブル感は感動するほどです。踏み始めからスッと自然に立ち上がる制動力と、ペダルを踏み込む量に対してリニアに反応するコントロール性の高さは、スイフトやフロンクスといった最新スズキ車の美点をしっかりと受け継いでいます。どのシーンでも使いやすいブレーキだといえます。
◆今度のハスラーは高速での移動も得意!


進化したADASのよさを体感できるのは、やはりACCでしょう。電動パーキングブレーキの新たな採用によって、高速道路での渋滞時などはかなり楽になりました。もっとも驚いたのは、レーンキープアシストの頼もしさです。ACC使用時にレーンキープも作動させると、車線のほぼ真ん中をガッチリとキープしてくれます。しかも、ステアリングはかなり重たくなりますので、ステアリングセンター付近の緩さは完全に解消。直進安定性がとんでもないレベルで向上します。ステアリングに軽く手を添えているだけで、まるで目に見えないレールの上を走っているかのような安心感をもたらしてくれるACCは、高速道路での長距離移動時には大いに役立つでしょう。


使い勝手の面も抜かりはありません。相変わらず多彩なリアシートのシートアレンジは健在で、後席を倒せばフラットで広大な荷室が広がります。前後スライド機能や、防汚タイプのラゲッジフロアも相まって、泥まみれのアウトドアギアも気兼ねなく放り込めるでしょう。スマートフォンの充電も、前述の通りType-Cポートが2つ用意されているため、助手席のパッセンジャーと奪い合いになることもありません。


最後に気になる燃費ですが、ストップ&ゴーの多い街乗りの実測で17~18km/Lほど、高速道路巡航では実測で21km/Lほどをマークしました。ターボの4WDモデルでありながら、この燃費性能は立派のひと言。維持費の安さとこの実用性を天秤にかければ、お財布にも非常に優しい相棒といえるでしょう。
◆1台ですべてをこなすオールマイティさ

今回、マイナーチェンジを機にハスラー タフワイルドとじっくり向き合ってみましたが、「もう、これで十分じゃないか」という想像以上の充足感でした。


多少の横揺れやステアリングのクセといった愛嬌はあるものの、それらを補って余りある静粛性、動力性能、乗り心地、そして最新の運転支援と圧倒的なユーティリティ。軽自動車という枠組みを超え、日常のアシから週末のロングツーリングまで、1台で何でもこなせてしまう懐の深さ。新型ハスラーは、私たちのライフスタイルを豊かに彩ってくれる、最高に頼もしい「相棒」へと確実な進化を遂げていました。
<文&写真=青山朋弘>










